Vol.7 エースは土日仕事

個人総合優勝を狙う、いわゆるエースと呼ばれる選手は特に実力が高い。実力が高いが、その選手が実質戦うのは、土日だけである。

毎日行っているツールドフランスであるが、この中でエースの競争であるタイム差が着くのは、実質的に2つの状況しかない。

◆タイムトライアル
一人一人で自力で走るから、そのままタイム差が生まれる。

◆山岳
基本的にはエース級の選手しか山での戦いに絡めないから、集団はほぼエースと、実力の高いアシスト選手しかいない。
山はあまり風除けもないから、タイムトライアルほどではないが走力差が生まれやすく、ひとたびペースが上がると、着いていけずに脱落する選手の光景が見られる。

そして、このようなエースの戦いの場というのは、基本的に土日に用意されている。自転車レースは昼間のレースであるから、基本的に土日が一番視聴率が高い。その為土日に、いちばんおいしいエース同士の戦いが設定されている。

この、山やタイムトライアルは、いずれも激しく足を消耗させるステージであるから、基本的には土日にエースで戦ってもらい、翌日は移動日を加えたり、平坦コースではエースは動く必要が無く、楽に進めるので、これが事実上の休養日になっている。
なおステージの設定によっては、山や動きの必要なコースが連日続き、激しい展開が行われるのではと大いに期待されるところではあるが、やはりエースからすると、最初のステージで全力で走って勝利しても、その分疲れて翌日大負けしたら意味がない、と考えるのか、せっかくの連日の仕掛けどころであるのに、ほとんどけん制、ただのサイクリング状態となってその場を終える、という、結局動かなかったという残念な展開になる事も記憶に多い。

トップへ戻る


(C)Wnd Bells Bicycle Club, Nanairoenpitsu.2010